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先日、前を通ると…足場が解体され、竣工をむかえたであろう - 百十四本店。
前記事:百十四本店 改修 http://archi-element.blogspot.com/2010/07/blog-post.html
一見で、推測した改修の概要は…おそらく。


既存ガラス(カーテンウォール)を残したまま、強化ガラスDPG(カーテンウォール)を外膜として設置。
ダブルスキン(2重皮膜)をつくり、断熱層になる空気層を作る。
新設の強化ガラスカーテンウォールが1階2階というように層で分けられていない事から、最上階と低層階の気圧・風速の違いから発生する上層排気力(煙突効果)にて、夏場は冷却効果…冬場は、最上階を閉じ、煙突効果を消し、太陽熱にて、空気層を暖めるという、パッシブな太陽エネルギーの利用をはかっている

・・・と、見える。

よく見ると、その空気層内にブラインドが付いているようにも見えます。
直射日光の遮蔽、開放を前面空気層内で行い、それらの効率を上げる方法も採用されている。

・・・・っぽい。

…内容は凄く緻密な改修工事。

ただ、少し辛口に、小さな声で…小さい文字で・・・。

銅板を使用してまで作られていた旧ガラスカーテンウォールの気配が消えてしまったこと。
新設・強化ガラスのカーテンウォールDPGの本来持つ、独特の透明感が、ガラスの品種、厚さからか、軽やかさが出てきていないとういう複合的な「もったいなさ」が見え隠れする。
教科書通りの工法ではあるが…。
少し、付け加える。
新設の強化ガラスの点支持金物、素材,形状。本物の銅板でも。
空気層に設けられたブラインドもおそらく、シルバー色?。
……と
素材感と素材の経年の検討・そして採用

・・・・・・新しい継承法として……。  等々。

新しい皮膜を…あたらしい調和を…模索するという、挑戦も見たかった。という感じを少しだけ。
あの規模の強化ガラスDPGは、本来はもっと繊細かつ迫力が感じられる物。
建築そのものの元来のすばらしさがゆえ。

歴史や文化を継承していくのは、思いのほか、難しいのかも。



ただ、
前記事で書いているように…この過程自体が素敵な事と思っている。

逆の道を辿ることが決定された名建築は数々あるが…先日発表された、
「赤坂プリンス」のケース。
通称「赤プリ」。設計・丹下健三・・・言わずと知れた日本の巨匠の作品。僕も機会あって2度ほど利用しているが、素敵な過去の記憶になってしまいました。
水晶の柱をモチーフに…全室角部屋のようなプランニング。景色が目に、部屋に、飛び込んでくる。


所有していた
西武HD。1983年オープン。3月で28年目
その取締役は記者会見で、
「時代の先端を行った象徴的なホテル。多くの方に利用されて愛されたが、…これも時代の変化だと思う」
と話した。…との事。

…こんなこと言っていたら…どうすんの。  全ての事が。

問題が天井高。改修し辛いから…だそう…。 技術・意匠・空間性。全てで不明・疑問。

解体までして、高層オフィスビルやコンプレックスに建替えするようです。


しかし、この「赤プリ」、解体を待っている期間中、
東日本大震災の被災者の避難所として解放されることも決定されました。有終の美。
名建築は、どこに向かおうと…「力」ある。あらためて。思わされる。

長田

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