残っていたのは、最終段階の一部だけなのですが…。
本当は、元々錆加工された銅板や、薬品もあるのですが、
お金を掛けずにできないか、薬品なんて使いたくないな、なんて思い、昔の記憶を頼りに、調味料に手を出した…。 挙句の苦労が見て取れる。
濃い目の醤油、薄めの醤油、ポン酢、みりん、酢。等々
そして、雨にさらしながら、観察。
その後、少し濃さや、塗るつける道具を変えて、感じを比べる…。の繰り返し。
結果、薄めの醤油が良好。
気持ちよく錆びる。道具はガーゼでの円を描きながらの2回塗りこみ。に決定。その後の一雨で、さっと変色する。
暫く、事務所も現場も、かなり醤油臭かったのを、体が匂いの感じまで今でも覚えている。
だが、しかし、
現場の施工に至っては、皆、責任を取りたくないのだろう・・・やってくれる人が結局、見つからず、事務所の所員総出で足場に登り、施工。
実験の成功を足がかりに勇み立って現場入り・・・。職人さんに、「大丈夫?」なんて言われながらも、ガーゼで塗りたくる。
その日、その後すぐ、急に雨が降り出し、予定通り、ゆっくり、変色し出した外壁。
・・・・を見て… 唖然。
ガーゼむら。雑巾むらみたい。迷彩服の様でもある。
現場も、シーンって感じで何を言って良いのか分からない感じ。
今まで、サンプル300角程度の銅板を集め、実験していたせいで気付かなかったのか・・・。
それとも、微妙な醤油の濃さの差か。あまりに実験と違う感じ。
あせる。とにかくあせる。錆びてしまうと収拾不能になることも実験で知っている。
とっさに、強めの雨のような状態を作れば、何か変わるかも…と感じ、vivaにあった霧吹を持ち、足場を駆け上がり、外壁全面を上から順に、強めに霧吹を掛けていく。
と、変色し出した銅板に付いていた、少しの醤油が垂れていき・・・垂れながら、同時に変色していく。
…しかも、みるみる。そして自然に。
外壁改修の現場で、竣工日直前の最終工程で、外壁を仕舞できない状況にしてしまう一歩手前。
・・・実は、ここで、雨が降ってくれたからが奇跡。天気予報も雨なんか降る予定無し。
竣工後や夜とかに降られると、収拾不能な状況に一気に転落していたのでしょう。
…天気と脳に起きた奇跡を感じます・・・。
ということで、これが完成。そして竣工。誰もこんなこと気付かない出来映え。
もっと、大きなサンプルで、お金も掛けてやらないと、安心は手に入らないということです。大きな失敗と少しの奇跡の結晶です。反省も込めて。 …長田
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